
U-VOICE インタビュー Vol.21 – RAYWOOD代表 木村 洋一
低価格でありながら実物に忠実な外見と豊富なカスタムパーツで人気を博すWPL JAPANのアウトドアラジコン。スピードはなくとも味のある走りがこのラジコンの特徴で、その操作は初心者にとっても簡単ではある。しかし難易度の高いコースとなればその操作技術とマシンセッティングがいかようにも作用してくるという、大人もすっかりハマる奥深いラジコンである。今回U-VOICEのゲストはWPL JAPANのラジコンを販売するRAYWOODの代表である木村洋一さんをゲストにお話を聞く。
自身をインドアで趣味の人だったと語る木村さんは、起業する以前はバンド活動をするためにアメリカに住んでいたという異色な経歴を持っている。帰国しすぐにイラスト用ペンタブレットやエアブラシなどのホビー用品を扱うRAYWOODを設立、その後RAYWOODは日本におけるWPLの輸入代理店となる。ここまで聞くと「趣味の人で、あの世界的なWPLラジコンの輸入代理店になるなんて、念願叶いましたね」と言いたくなるが、実は木村さん、この段階ではミニ四駆こそやっていたが、ラジコンには未だ触ったことがある程度だったのである。しかし現在の木村さんのオフィスには彼やスタッフが作った魅力的なカスタムが施されたラジコンが壁中に飾られ、小さいガレージのような作業場まで存在し、その周辺にはまだこれから組み立てられることを待っているラジコンやプラモデルが箱ごと積まれている。その中で自身の作ったカスタムカーについて語る木村さんは、今では立派なラジコンの虜となっている。そんな彼の秘密基地であるRAYWOODのオフィスにて、自社のラジコンや将来的な展望を伺った。

― まず初めにWPL JAPANのラジコンの特徴と売りを教えてください。
本格的なホビーRC(ラジコンカー)は、だいたい実物の1/10スケールなんです。国内の有名メーカーさんのバギーや、屋内サーキットを走る競技用RCがそのサイズですね。でも、ウチのはもう少し小さいサイズなので、部屋の中でも十分遊べるんです。1/10スケールのバギーなんかは速くて楽しいですが、走る場所を選ぶし、やっぱり値段も高いんですよ。でも、僕らのラジコンはめちゃくちゃ遅くて、価格も安いのが特徴です(笑)。
遅くても四駆で、トルク(車輪を回転させる力)重視の設計なので、障害物があっても四輪のうちどれか一輪が引っかかれば乗り越えていける ― そういう走りが特徴のラジコンです。「ロッククローリング」という競技があって(トヨタ・ランドクルーザー、スズキ・ジムニー、ジープに代表される四輪駆動車によるエクストリームスポーツのひとつ)、岩などの障害物をじっくり乗り越えるスタイルなので、スピードは不要なんです。スローペースで、トルクとサスペンションの動きを活かして難所を進む ― そんな遊びの楽しさがあるんです。スピードを競うというよりも、地形を楽しむ遊びですね。

― WPL JAPANのラジコンを扱うきっかけを教えてください。
僕は変わった経歴なのですが、最初はペンタブレットやエアブラシなどを作ってたんです。取引先に今の開発担当が「ラジコン楽しいですよ。やりませんか?」って言われて、中国のラジコンブランド WPLと交渉して契約を取ったんです。その取引先の開発の方が「ラジコンはいろんな楽しみ方があって楽しいですよ」ってすごく熱く勧められて、共感したのが始まりでした。

―昔のラジコンと今のラジコンって、何か大きな違いってあるんですか?
正直、性能自体の大きな進化はあまりないかもしれません。精巧ではあったけど高価だったために昔は一部の人しか遊べなかったラジコンが、今はもっと安価に手に入りやすいモデルも登場したことでより身近なものになりました。特に僕らのラジコンはお年玉で買える価格を意識して設計しています。また昔とは遊ぶ場所も大きく変わったと思います。昔のラジコンは速度も速いため専用のコースやレース場以外で遊べる場所は少なかったのですが、今はキャンプ場や川原でも遊べるし、場所を選ばなくなってきたことで遊ぶ自由度が上がっていますね。

― 輸入代理店としてラジコン開発に携わっている部分があれば教えてください。
代理店であると同時にWPL JAPANとしてやっているので、やはりクオリティを日本基準に保つことは重要な要素として捉えています。それと同時に日本の僕らが好きな車種であることも重要ですね。ジムニーのように僕らが企画して作る車種や製品っていうのは少なくとも年に一回はありますね。
― ご自身が今後作りたいモデルはありますか?
ランクルの60は作りたいですね。40をこれから出そうとしているんですけど、ライセンスが下りるのに時間がかかります。そして余裕があればハイエースとかもカスタムやデコレーションのしがいがありそうなので作りたいですね。

― アウトドアラジコンは今やタミヤのような大手に限らず、他ブランドも参入して盛り上がっているように見えますが、どのようにマーケットを広めていったのでしょうか?
キャンプ向けのアウトドアラジコンっていうものは多分僕らが最初だと思うんですよね。キャンプとラジコンっていうのは「相性がいいね」という話になり、 スタッフにキャンプをやるメンバーが多かったので、キャンプに行った際にラジコンと一緒にパッケージングして、それをプロモーションし始めたっていうのが始まりです。それをいろんなイベントに出したり、メディアに露出したりすることによって「ラジコンキャンプいいじゃん!」みたいになって、そこから遊んでくれる人が多くなり、取り扱い店舗が増えました。キャンプ場やアウトドアショップの中でも特に感度が高いところではウチの商品をアウトドアギアの一部として取り扱ってもらえるようになりました。ラジコン業界としても”外で遊ぶ”ように広めていきたいっていうのは感じますね。

― U-BASE相模にもラジコン用のコースがありますね。
はい、スタッフから聞いてます。僕はまだ現地には行けてないんですが、動画を見て「これは絶対楽しいだろうな」って想像は膨らましています。駐車場にコースがあって、お店で買ったらすぐ外で遊べる環境って、すごく良いと思います。ラジコンは“買ってすぐ外で遊べる”というのが大きな魅力なので、買って終わりじゃなくてすぐに遊べる環境が提供されているのは重要です。実際、U-BASEさんの店舗の入り口には『ラジコンあります』っていう看板も立てていだいていて、それを見たときに「これは新しい取り組みだな」って感じました。そしてこれは今のアウトドア業界が抱えている課題にも通じるんですよ。
僕はイベントに行くたびに、各メーカーさんに「現在の業界の課題って何ですか?」ってヒアリングするようにしているんですが、アウトドア業界の人と話してても「キャンプの次が見つからない」っていう悩みがあるんですよ。アウトドアにおける料理やランタンなどの人気のカテゴリーは一周回り、何か“新しさ”が問われている感じがします。特に今の時代では“新しさ”はSNSですぐに拡散されますしね。アウトドアでやるラジコンは遊びとしても楽しく、ビジュアル的にもSNS向きでもあります。ラジコンを持っている人同士のグループキャンプとかで何台か集めて、ラジコンを並べて写真を撮ったりしたらとても熱くなりますよ。U-BASEさんのように僕らをキャンプギアとして扱ってくれるところが増えれば、これが1つのフックになって、キャンプに行こうじゃなくて「キャンプ行ってラジコンやろう」となれば、もうちょっとアウトドアが広がるのかなって思います。個人的にもラジコンが“キャンプへ行く理由”の1つになるといいなと思っています。

― 今後U-BASEとコラボレーションなどは考えていますか?
是非したいです!ラジコンのワークショップとかイベントをしたいですね。自社イベントをやって欲しいという声を結構頂くので、今年は自社イベントをやろうと思っています。それ以外にも取り扱っていただいている店舗さんと協力してワークショップなどのイベントができればと思っています。特にパーツとかも結構販売してもらっているU-BASE相模さんには外にコースがありますから、パーツの改造をみんなでやってそのまま走らせるという直に楽しみを味わえるようなイベントをやりたいですね。

― ここの事務所に飾っているような改造されたラジコンを展示するだけでも興味深いイベントになりそうですね。
ウチにはカスタム車両がいっぱいあるので、それを持っていけば、こんな改造も出来るんだって見せられますね。それに子供たちは走らせて何が悪かったのか考えて、ドライバーをくるくるして自分なりに修正してずっとやりますよ。ウチのラジコンは他のメーカーとは違って、壊れたパーツだけ取り替えて直せる構造になっていますし、駆動や足回りを知ることでクルマの仕組みにも触れられます。構造が分かって、壊れても直せる。それがWPLのラジコンの魅力の一つですね。板バネの良さとか、パーツ交換の違いを知ると、大人も子供も“沼”にハマっていきます(笑)。 なので教育にもなると思っていますし、 子供たちも大人たちも楽しめるコラボイベントは是非やりたいですね。

― それでは最後にWPL JAPANとしての今後の展開についてお聞かせください。
ラジコンにとどまらず、”男の趣味部屋”をコンセプトに広げたいと思っています。ラジコンはその中の一部で、”趣味って楽しいよね”ということをもっと気軽に多くの人に体験してもらいたいですね。
【プロフィール】
木村 洋一(きむら よういち)
株式会社RAYWOOD 代表取締役
1985年・神奈川県生まれ。20代は音楽活動を通じて国内外を飛び回り、帰国後に結婚を機にEC業界へ転身。2017年に個人事業として「RAYWOOD」を立ち上げ、ホビー用品のD2Cモデルに挑戦。ユーザーに寄り添う誠実な姿勢が評価され、ファンを着実に獲得。2020年に法人化し、代表取締役に就任。
現在は、アウトドアラジコンブランド「WPL JAPAN」の日本展開を中心にホビーの魅力を広げている。
RAYWOOD 公式ホームページ
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公式インスタグラム:@raywood__official
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