U-BASE Diary

U-VOICE Vol.10 Boottonation 田中良介

U-VOICE 9回目となる今回のゲストは、神奈川県の藤沢で牛たん屋『牛たん 良助』を経営しながらアウトドアブランド『Boottonation』の代表を務める田中良介さん。U-BASEでも扱っている『Boottonation』は、日本で唯一”打出し製法”を用いた鉄鍋を扱うアウトドアブランドである。

”打出し”とは、鉄板を機械ハンマーで数千回叩いて成形する製法のこと。『Boottonation』の打出し鍋の生産を担当しているのは、横浜にある山田工業所だ。山田工業所は日本において打出し製法で鉄鍋を作っている唯一のメーカーであり、プレス機によって大量生産された一般流通している鍋と比べて、彼らの鍋には手間も時間も大幅にかけられている。そうして生まれる鍋が持つ確かな品質は、横浜中華街のプロの料理人たちも黙らせている。
 
山田工業所の確かな技術力と質に、アウトドアの新たな切り口を落とし込む『Boottonation』の鉄鍋。インターネットを探してもなかなか見つからないブランド自身の情報量と反比例するように、その鉄鍋は多くの取扱店にて売り切れとなっている。平均5000回以上叩き込まれた『Boottonation』の鉄鍋は鉄板自体が薄く熱伝導が良いので、不安定な野外の焚き火の上でもちゃんと役立ち、ダイナミックさがウリであるアウトドア料理を目でも耳でも存分に楽しませてくれる。また叩くことで鉄自体の密度が上がり、鍋自体は軽く頑丈になる。中華料理のプロが愛用するものだけあって、家庭用やアウトドアで使用するなら手入れ次第で一生ものになるだろう。田中さんが経営する『牛たん 良助』内の一角には黒く鈍く光る『Boottonation』のブースがある。牛タン屋が空いているときは一般客にも開放されているようだ。今回は田中さん自身が経営するその『牛たん 良助』にて、自身のブランド『Boottonation』について気さくにお答えいただいた。 

U-BASE編集部(以降、UB):まず『Boottonation』の読み方を教えてください。
田中良介(以降、T):”ぼーっとネーション”ですね。

UB:ブランド名の由来は?
T:”Bootto”は“ボーっとする”、”nation”はそのまま集うとか集まり。ですから「みんなでぼーっとしよう」とか「一緒にぼーっと出来るメンバーの集い」みたいなニュアンスの造語ですね(笑)。思いついてからインターネットで検索して、1件も引っかからなかったのでコレにしただけです。僕と奥さんで一緒にやっています。

UB:いつから始めたのですか?
T:1年ぐらい色々と試行錯誤して、実際に商品を販売し始めたのは去年の6月です。

UB:最近なのですね、だから人気なのにネットの情報が少ないのですね。もともとアウトドアがお好きだったのですか?
T:実は…最初は特に好きではなかったんです(笑)。

UB:では、きっかけは?
T:奥さんです。奥さんがアウトドアをやりたいって言っていたんですが、個人的にはずっと嫌だったんですよ(笑)。参考として見せてくる写真がキャンプ場にお店を開いているような可愛らしいレイアウトのものばかりで、まったく自分の趣味ではなくて。だから、個人的にはやりたくないなと思っていました(笑)。あるときアウトドア系YouTuberの動画を見て格好いいと思い、これならやりたいって思うようになりました。それで1、2回キャンプに行って、キャンプ道具を揃えるなら『sotosotodays』で揃えようとお店に行くようになったんです。前職時代の経験から”モノづくり”に携わる人を多く知っていたので、そこで色々な焚き火台や道具を見て「あ、これならあの人が作れるな」とか「これはこの人だ」とか、そういった感じで自分でもできるかもしれないと思ったのがきっかけですね。

UB:一気に行きましたね(笑)。
T:あんまり大きな声では言えないんですけど…キャンプを初めて2、3回行ったぐらいでもう「ブランドやる」って自分の中で決めていたましたね(笑)。

UB:凄いスピード感です(笑)。数あるギアの中でもなぜフライパンを?
T:まず最初に作ったのは中華鍋だったんですが、それはやっぱりアウトドア市場には本格的な中華鍋がなかったということがあります。それと、前職時代に1週間に1度ぐらいの割合で山田工業所に伺っていて、彼らが作る打出し鍋のクオリティ、そして市場からの高い評価も分かっていました。なので、山田工業所のお客さんの中にも当然キャンプが好きな方が沢山いて、そういう方に向けて作れれば受け入れてもらえるかなと思いました。

UB:打出し鍋の魅力は?
T:鉄を5000回~10000回叩くことで、鉄の密度が詰まっていきます。そうすると丈夫になると同時に熱伝導も良くなるので、調理がしやすくなるし、商品の持ちも良くなるのです。通常のプレスで作った鍋では普通の中華料理屋で1ヶ月と持ちません。しかし打出しの中華鍋なら2ヶ月、3ヶ月は持つと思います。だから横浜の中華街では8割以上のお店が山田工業所の中華鍋を使っています。

UB:打出し鍋は見たらわかりますか?
T:そうですね、鉄を打つと打痕が残るので見ていただければわかると思います。触ってもわかりますね。この鉄を打った跡が凸凹なので油も馴染みやすいのです。

UB:因みに今後も山田工業所さんとは開発の面でも一緒にやっていくのですか?
T:そうですね。現在U-BASE西湘でも売っている『打出ディッシュ』という、フライパンの取っ手が取れて鉄の皿になる商品を販売しています。かなりアウトドア向けの商品で、今までの山田工業所のラインナップにはないような商品です。こちら側から提案させてもらって、何回かの試作後に販売することができました。山田工業所も新しいことを生み出すことにすごく前向きな会社なので、今後も一緒にどんどん時代に合ったものを作っていきたいなと思っています。

山田工業所 × Boottonation × sotosotodays 打出ディッシュ

UB:『Boottonation』としての普段の商品開発はどういった形で行われるのですか?
T:いろんな人の意見は聞くようにしています。やっぱり『sotosotodays』の野毛くんの意見はすごく参考になりますね。彼に相談すると「この機能もあった方がいい」「コレとコレは組み合わせられないの?」など、必ず面白い意見を言ってくれるのでとても参考になります。もちろん野毛くん以外にも相談する人はいますが、特に彼の意見は参考になりますね。

UB:この『Boottonation』の一角、格好いいですね。こちらは一般客に開放されていますか?
T:はい、もちろんです。牛たん屋がやっているときに開けているので是非来てください!

UB:ちなみに『Boottonation』の鉄鍋はこちらの牛タン屋では使っていないのですか?
T:窒化という商品にする最終段階の処理を野毛くんがやっていないので、まだ自分たちの分ができていないんです(笑)。

UB:なるほど(笑)、皆さん忙しいですもんね。BBQ芸人のたけだバーベキューさんも来られてるんですね?この焚き火台もBoottonationのものですか?
T:はい、U-BASE湘南も近いので和歌山のOrange(オレンジ)メンバーと来てくれました。この焚き火台はこのブースの棚を作ってくれた方のオリジナルブランドです。ここにはよくアウトドア仲間も来てくれます。

UB:横の繋がりを大切にされていますね。
T:そうですね。僕は横の繋がりだけで生きています(笑)。

UB:普段キャンプは行かれていますか?
T:はい。出来るだけ行こうと思っています。

UB:どこに行かれることが多いですか?
T:みさきキャンプ場(山中湖)です。あそこは周りが湖ですから、夏はSUPが出来るし、最高ですね。去年初めてやったんですが、アウトドアのこういったアクティビティは面白いなと感じました。

UB:U-BASEが打ち出しているバンライフには興味はありますか?
T:めちゃくちゃあります!うちはワンちゃんがいるから泊まれる環境も限られてしまうので、本当はキャンピングカーがあればどこにも行けて1台で完結するなと思っています。キャンピングカーは特にアウトドアが好きで、かつワンちゃんを飼っている方に向いてると思います。ですからU-BASEにもワンちゃんがOKなレンタルキャンピングカーを始めてくれたらなあと思っています(笑)。お願いします!

UB:ご意見ありがとうございます(笑)。ちなみに今後商品化したいと思っているものはありますか?
T:それは常に考えていますね。

UB:ドリームプランで構いませんのでお聞かせください。
T:やはりいつかはオリジナルのランタンを作りたいですね。以前から構想はあって、最初は加圧式のランタンを作りたかったんですが、安全性も考慮するとちょっとハードルが高くて最初はオイルランタンから手がけていこうかなと思っています。やっぱり僕がキャンプを始めて一番最初にハマって収集したのがランタンで、多分3~4ヶ月で20個ぐらい集めました(笑)。

UB:またすごい速さですね(笑)。蛍の群れみたいです。
T:はっはっは(笑)。そんな感じで、ランタンはいずれオリジナルのものを作りたいなと思うんですがね。

UB:鉄のメタル感が全面に出たランタンは格好良さそうですね。
T:キャンパーとしては必須アイテムですし、雰囲気を作る上でも欠かせないものなので。物によって違いはあれど、男心も女心もくすぐられる物だと思うので。オイルランタンは年内には販売したいなと思っています。

『Boottonation』(牛たん 良助・店内)
住所:〒252-0816 神奈川県藤沢市遠藤934−19
電話:0466-90-5661
WEB:Boottonation Official Homepage
営業時間:11:30~14:30(14:00L.O)ランチのみ
[定休日] 月、火曜日(牛たんがなくなり次第閉店)

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